本文へ移動

アルヴァ通信

ログイン状態を確認中

· 記事

討伐報告のない魔物、ギルドが一覧を掲示 筆頭は南門の守護像

冒険者ギルドは、目撃されたものの討伐報告が一件もない魔物の一覧を本部に貼り出した。残った欄の筆頭は旧帝都南門を守る三体である。

「世界初討伐への挑戦者求む」

クロスロードの冒険者ギルド本部に、先日から一枚の掲示が貼り出されている。表題は「空白の記録」。魔物の名と出没する場所が並び、その横に設けられた欄はどれも空いたままだ。初めて討ち取った者の名を書き込むための欄である。

魔物の調査はギルドの重要な任務のひとつだ。襲われたときの対処や弱点を知るには、冒険者からの報告が欠かせない。討伐を果たした者への敬意を込めて、魔物を初めて討ち取った冒険者の名はギルドの記録に残される。

今月に入ってから、その記録は次々に埋まった。ホロウデルの亡者、街道のオーガ、ラピス渓谷のゴーレムまで、ひと月足らずで名前が入った。ギルド長ハルド・ベルクが入り口すぐの掲示板に貼り出したのは、その達成者の一覧ではない。目撃されているにもかかわらず、討伐の報告が一件もない魔物の一覧である。

「そろそろ調査にも本腰を入れんとならん。危険を冒してでも、冒険者諸君には討伐を目指してもらいたい」

筆頭は南門の三体

一覧の筆頭に挙がったのは、旧帝都南門の守り手たちである。片方だけ残った門柱の前を、いまも甲冑の影が規則正しく巡っている。亡霊の騎士ファントムナイト、旧帝国の守護像ラウレス・ガーディアン、そして門そのものを塞ぐ名持ちの巨像ラウレス・ゲートキーパーだ。南門は盆地の中でも有数の危険地帯として知られている。

南門に続いて並ぶのは、ドルガンの北、旧帝都の外縁に棲む二体だ。ラウレス外壁の翼ある石像ガーゴイルに、アンダークロフトの魔導機械ラウレス・オートマトン。

この二つの欄を気にしているのは、ドルガンの鍛冶師たちである。アイゼン連合王国の重装備には帝国合金が欠かせないが、その配合は失われて久しい。旧帝国の像や機械から欠け落ちた破片を鋳直すほかに手がない。「ブラックオークの森のトレントを仕留めた奴はもういるってのに、外壁の石像には誰も手を出さねえ」と、ある親方は炉の前でぼやいた。

ギルドは、一覧の欄が埋まり次第、アルヴァ通信で速報を出すとしている。

記事一覧へ